参考価格 70,000円
金彩は剥げ落ちた部分があちこちありましたのですべてやり直しました。
着物リフォーム問診表からのお問い合わせ
◇A-1.オーダーメイドされるご予定のおきものは何ですか?
留袖
◇A-2.(A-1でその他を選んだ方) ご希望をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
約22年経過しました留袖です。
肩から背中にかけて色あせ(日焼け)と裏地(白)のしみが気になっております。
◇B.ご予算
特に決めておりません
◇C.納期 (納品までに最短二ヶ月必要です。)
使用予定は平成23年1月を予定しております。
◇D-1.地色のご希望をお聞かせ下さい。内容をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
濃い暖色系
◇D-2.(D-1でその他を選んだ方)内容をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
◇E-1.柄のご希望をお聞かせください。
わからない
◇E-2.(E-1でわからない以外を選んだ方)内容をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
花柄や鳳凰などの刺繍(金糸)施されています。
◇F-1.着られる方の年齢 (選択してください)
五十代
◇F-2.(F-1でその他を選んだ方)内容をなるべく詳細にお聞かせ下さい。
ご依頼の補足メール
7月に問い合わせしましたSと申します。
その後詳細に見ますと次のことが判明しました。
1 日焼けについて
肩付近が日焼けにより黒地がやや薄くなっております。
2 背部のシミについて
ア 左袖紋の右側背部に小さいシミがあります。
イ 背部の腰部分に線状のシミがあります。
3 左足部(柄部分)の糸の解れがあります。
その他
ア 柄部分には、金糸・銀糸を使用しているようです。
イ 今回写真を添付しましたので、アドバイスなどいただければ幸甚です。
返信内容
S様メール有難うございます。
1、につきまして
私たちは「ヤケ」と言っています。
黒留袖はどうしても地色が焼けてそのような状態になります。
私のHPに掲載させていただいています黒留袖はほとんどがそのような状態の着物です。
「ヤケ」の進み具合にもよりますが直せます。
2、につきまして
ア、はカビによるシミでしょう。
白っぽく写っていますのでまだ初期の状態で直せます。
このままにしておきますと白っぽいのが茶っぽくなりやがて穴が開きます。
イ、は汗によるシミと思えます。
胴裏にもシミがあるのではないでしょうか?
汗によるシミは時間がたつほど落としきることが難しくなります。
ただ表が黒ですので直せます。
胴裏の変色は拝見しないと何とも言えません。(出来ますかぎり落とします)
3、直せると思います。
その他、につきまして
模様がはっきりとわかりませんが「切地とり方花丸」のように見えます。
花丸の中に鳳凰の丸もあるのだと思います。
仕上げのやり方によっていくらでも豪華にできる古典模様の留袖です。
上記の問題を解決しそれなりに(今以上に)仕上げますと八万円くらいかかると思います。
留袖はいくらでも手を入れることが出来ます。(手を入れることで立派に見えます)
それは人間が厚化粧をするのに似ています。
嫌味にならずその着物にとって最高の状態にするのが私たち職人の仕事だと思っています。
よろしければ小さく畳んでお送りください。
拝見して改めてお見積もりさせていただきます。
よろしくお願いします。
納品時のメール内容
この度は公庄工房をご利用くださりありがとうございます。
お預かりしています黒留袖直しできあがりました。
左袖にある小さなシミ努力しましたが少し残っています。
何が付いているのかわかりません。
腰の部分線上のシミは染めむらでした。
この留袖を制作のおり、染める時点で何らかの原因でムラになったのです。
購入された時点でもあったと思われます。
ほぼわからなくなるまで直しましたがこれ以上は無理です。
金彩は剥げ落ちた部分があちこちありましたのですべてやり直しました。
金彩―洗いー地色染め直しー地色ムラ、シミ直しープレス
この工程で七万円になりました。
この留袖を私のHP「京友禅 公庄工房」に掲載のお許しをお願いします。
少しでも多くの実績を見て頂き安心して公庄工房へ来ていただきたいと思っています。
現在、着物の多くは国外で生産されるため、着物職人の仕事は日々少なくなっています。生活を守り技術を次の世代に伝えるため努力しています。
よろしくお願いします。
有難うございました。
今後とも公庄工房をよろしくお願いします。
お客様からの返信内容
依頼品の黒留袖、本日受領しました。
色・柄ともに32年前のように蘇ったように思えます。
お陰をもちまして新年、息子の結婚式に着用が可能となり
早めの準備を進めているところで御座います。
金彩などの糸の解れでしょうか物の見事に復元されており
仕事人として、職人魂の一旦が伺われます。
また、本日は京友禅についての仔細なご教示まで賜りあり
がとうございました。
母の思いが、今更ひしひしと感じるとともに、この思いを子
に引き継いで参りたいと思っております。
ありがとうございました。
● 工程
黒留袖直し
1、金彩
2、洗い
3、地色染め直し
4、地色ムラ、シミ直し
5、プレス