完全お誂え・オーダー着物「矢羽根・桐唐草」
御客様からの最初のメール
いつもお世話になっております。
先日はとても素敵な付け下げをお作りくださり、ありがとうございました。
次の別誂えは秋頃からと考えておりましたが、予定がかわり、
引き続き次の付け下げの制作をお願いできますでしょうか?
先日お腹の赤ちゃんが男の子だということがわかりまして、
その子が生まれる記念になる1枚を、と考えています。
残念ながらお宮参りは9月なのでそれに合わせることはできませんが、
将来の七五三のときに着られればと思っています。
生まれ年にちなんだものも考えてみましたが、酉年に合う図案が思い浮かばず、
そんなときに性別がわかったので「男の子」にちなんだ柄を選びました。
メインの図案は「矢羽根」です。
まずは添付画像の右側にいる芸妓さんの着物の柄をご覧くださいませ。
矢羽根にも色々ありますが、添付画像のように、大きめの矢羽根を少し斜めに配し、
その中に松や鳳凰(鷹や龍でも良いかもしれません)や亀甲や菊桐などの、
男児の産着にあるような柄を小さく詰めて描いて頂くのはいかがでしょうか?
お正月にも着られるよう、武具としての矢というよりは破魔矢のイメージで、
菊桐や松などおめでたい柄を取り入れています。
また、5月の端午の節句茶会にも使えるように、地色は5月らしい淡い藤色を想定しています。
図案は矢羽根だけだとスッキリしすぎでしょうか?
添えの柄として何かあったほうが良いでしょうか?
動きのあるものですと、斜めに配した菊立涌、菊唐草、牡丹唐草あたりのいずれかを、
白上げなどのあまり目立たない彩色で添えて頂くような感じでしょうか。
図案につきまして、また色々アドバイスを頂ければと思います。
この度もお手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願い致します。
S E
公庄工房からの返信
公庄様
いつもお世話になっております。
先日は踊り桐唐草を足した図案をお送り頂きありがとうございました。
仕事の繁忙期やGWが重なり、返信が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
図案お送り頂いた踊り桐唐草を入れたものがとても素敵でしたので、こちらで確定をお願い致します。
また、地色見本もありがとうございました。想像していた通りの綺麗な藤色が並んでいました。
地色は2番でも良いかと思いましたが、色焼けしやすい地色なので、2番と3番の中間あたりの色(どちらかという3番寄り)でお願いします。
生地は良さそうなものをいくつかお選び頂き、お送り頂けましたら幸いです。
どうぞよろしくお願い致します。
公庄工房からのメール
S E 様
いつも有難うございます。
今日白生地3反発送しました。
写真添付します。
伝票番号 4224-6485-7242 おといあわせ 0120-01-9625
明日午前中にお届けできますよう手配しました。
御都合もお聞きせず申し訳ありませんがよろしくお願いします。
2反は以前見ていただいた反物です。
いつものように何か目印をして送り返してください。
お手数をおかけしますがよろしくお願いします。
公庄工房からのメール
S E 様
ご注文いただきましたオーダー付け下げ訪問着下絵、糸目糊伏せ、まで出来上がりました。
写真添付します。
現在地染めをお願いしています。
来週には染め上がり、友禅に取り掛かります。
今回の生地「御戸代」は少し高価になっています。
生産が難しく少ないうえに御希望される方は多くおられます。
下絵も付け下げと云うには模様も多くなっています。
生地、下絵の代金が増えてしまいました。
仮絵羽の工程を省いて進めなければなりませんでした。
私はできるだけ工程は丁寧にと進めていますが、今回に限りましてお許しをお願いします。
また、ご予算00万円で進めていますが0万円くらいの赤字になりそうです。
申し訳ありませんがご予算00万円にお願いできないでしょうか?
よろしくお願いします。
夏を控えしんどい毎日のことと思います。
御身体ご自愛ください。
御客様からのメール
公庄様
いつもお世話になっております。
先週から産休に入り、しばらくメールチェックをしておらず返信が遅くなりまして申し訳ありませんでした。
下絵と糊伏せのお写真ありがとうございます。代金については了解致しました。いつも良いものを限られた予算のなかでお作り頂いて本当に感謝しております。
出来上がりはまったく急いでおりませんので、暑い夏にあまりご無理をなさらず、ゆっくり進めて下さいませ。
S E
納品時の公庄工房からのお手紙
S E 様
いつも公庄工房のオーダー着物をご利用くださり有難うございます。
御注文いただきました付け下げ訪問着「矢羽根に桐唐草」出来上がりました。
今回はご無理をお願いしましたが快くご了解していただき有難うございました。
友禅職人として独立してより35年間使わせていただいた工房での最後のお仕事が「矢羽根に桐唐草」になりました。
バックの桐唐草は白を基調に薄朱のぼかしを入れました。
花には地色にも調和する薄いピンクでまとめました。
矢羽根にはご指定の模様を入れポイントらしくしっかりとした有職指しでまとめました。
地色ともに品格のある訪問着に仕上がったと思います。
ご予算をオーバ―してしまい申し訳ありませんが00万円でお願いします。
S 様にはオーダー着物を長年ご利用していただき多くの着物を作らせていただきました。また、ブログでもご紹介していただくなど大変お世話になっています。
私にとって大きな区切りとなるお仕事が「矢羽根に桐唐草」であったことをありがたく感謝しています。
新しい工房は狭くなりましたが3階までありますので頑張っている若者の住居として使えます。
少しでもいい環境を整えて応援してゆき、京友禅を次代に受け継いでもらいたいと考えています。
この着物も私のHP京友禅 公庄工房の「オーダー着物ギャラリー」に掲載のお許しをお願いします。
京友禅着物を少しでも多くの方に見ていただきたいと願っています。
有難うございました。
今後とも公庄工房をよろしくお願いします。
平成28年9月16日
公庄 工房 公庄 武雄
納品後のお客さまからのメール
ご連絡が遅くなりまして大変申し訳ございませんでした。2人の育児は想像以上に大変で、毎日バタバタと時間が過ぎてしまいます。
お送りいただいた付下げですが、地色も柄も申し分なく、思い通りの大変素敵な仕上がりに感動しております。
薄すぎず派手すぎずとても綺麗な藤色の地色に、格調高い吉祥矢羽根柄がとても良く映えていますね。
友禅の色使いも地色に良く合ってとても華やかながら、この先も長く着られそうな色使いで嬉しいです。
息子の誕生の記念にと作ったものですので、一番初めは年明けの初釜に使いますが、その後は息子の七五三に使おうと今から計画しています。
おすすめ頂いた生地は地紋がないので派手さはありませんが、とてもしっとりしていてなめらかな手触りの素敵な生地ですね。良い生地だなぁと一目でわかります。
このたびもとても素敵な着物をおつくり頂き、どうもありがとうございました。またお気に入りの一枚が出来上がりました。
次はまた年明けごろに制作をお願いしたいと考えておりますので、今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。
追伸
今回の着物も、是非HPでお使いくださいませ。新しい工房に移られ、ますますのご発展をお祈りしております。
S E